ご紹介した本のなかから、アトピー性皮膚炎の全体像を理解するのに最適と思われる記載がありましたので、引用させていただきました。
専門医の先生方でもアトピー性皮膚炎の実態を説明する時に、「アトピー性皮膚炎は巨象のようなものだ」という言葉を使われるそうです。それほど、全体像がなかなか見渡せないという嘆きです。
先生方でさえそうですから、一般の患者にとっては、さらに難しく感じ、理解しにくくて困ってしまいます。そのようなときに、九州大学、今山修平先生の考え方は、わかりやすく、全体像の理解の助けになると思います。
アトピー性皮膚炎発病の要因は極めて複雑ですが、考えられる要因に1点から9点までの点数を仮に付けます。
これをある患者さんについて集計し、10点を超えたから、発病していると考えます。逆に、ある要因を除くことにより、10未満にできれば、治療ができたと考えます。
いま、2人の患者さんを例にとり、表であらわせばこのようになります。
皮膚の機能異常 食べ物 ダニ その他 合計
Aさん 3点 4点 3点 2点 12点
Bさん 7点 1点 1点 3点 12点
この表現は、患者さん1人1人の発病の要因も異なれば、治療の重点も異なることを、わかりやすく説明しようとしています。
患者さん1人1人の要因は、このように明確に把握できているわけではありません。
しかし、このように考えることにより、要因を整理し、治療の方向付けをするのに大いに役立ちます。
今山修平先生は発病の要因を次のように大別しています。
大きな区分 具体的な項目
皮膚の機能異常(患者自身の異常) 皮膚のバリア機能(防御機能)異常など
アレルギー(外界からの関与) 環境抗原(ダニ、花粉など)、食物抗原など
このうち、皮膚の機能異常に対して、治療の重点を置いた方が成果を上げやすいと考えておられます。
このため、具体的にはスキンケアに重点をおいています。
最近は精製技術も進歩して基材臭も気にならない範囲となり、技術的にも無香料にしやすい環境ができました。
しかし、市販の汎用品に使われている高級アルコール系界面活性剤を使う場合はまだ無香料にするのは難しいようです。